自分らしく働ける人を増やす!!岡﨑が抱く想いとは?
株式会社manabyの岡﨑衛(おかざき まもる)様に取材をしてまいりました!
岡﨑さんの過去や創業のきっかけ、将来の展望をお聞きしてきました!
プロフィール
宮城大学事業構想学群デザイン情報学科卒。
障害福祉サービス事業を行うベンチャー企業でのインターンを経て、
大学3年次の2009年に起業。
就労移行支援事業所、就労継続支援A型およびB型事業所を運営。
2016年、仙台に就労移行支援事業所manabiを設立。
2017年、社名をmanabyに変更。
一人ひとりが自分らしく働ける社会の実現を目指す。
就労支援の問題を解決するには?
ーー本日はよろしくお願いいたします!
まずmanabyがどのようにできたのか、創業背景をお聞きしたいです!
岡﨑:僕はmanabyの創業前から、精神疾患がある方の就労支援に携わっていました。その中でそもそも福祉事業所に通えない状態の方や、就職しても状況の変化に対応しきれず、仕事を継続できなくなってしまう方が多くいたんです。
また、自分のスキルを活かせる仕事に就きたくても、地方にはその職がなかったりします。首都圏まで移動して就職活動をすることで症状が悪化してしまい、希望の仕事に就くことを断念する方もいらっしゃいました。
ーー様々な問題があったんですね…。
岡﨑:これらの問題を網羅的に解決したいと思い、在宅での学びや仕事を可能にするビジネスを考えました。そのアイデアがビジネスコンテストで評価され、2016年にmanabyの創業に至りました。
ーー障害のある方が働くことはもちろん、自分らしく働き続けてほしいという想いのもと、manabyが生まれたんですね!
岡﨑:はい。今はオンラインが当たり前になっていますが、コロナ前はほとんどが対面でしたよね。ですので、当時このようなサービスはあまり提供されていませんでした。
ーーmanabyにはmanaby CREATORS*やmanaby WORKS*などの事業がありますが、これらはどのような背景で展開されたのでしょうか。
※manaby CREATORS:
イラストや音楽、文章の制作など、得意なことを生かして活動をする就労継続支援B型*事業所。
※就労継続支援B型:
雇用契約を結ばずに障害のある方に生産活動などの就労訓練を行うサービス。
※manaby WORKS:
オンラインでITスキルを学びながら、働き方について相談ができるサービス。
岡﨑:就労移行支援事業所に通っても体調面などで就職が困難な方もいます。進路のひとつとしてB型事業所を紹介することがあるのですが、利用者さんに合う事業所がなかなか見つからないことも多かったのです。そんな時に「manabyらしいB型事業所があってもいいのではないか」と考え、4年前の2018年にmanaby CREATORSというサービスを開始しました。
またmanaby WORKSが生まれた背景ですが、manabyにお問い合わせをいただく中で、通いたくても通えない方もいたんですね。事業所が遠くて通えないケースもありましたし、福祉サービスの対象外になってしまう方もいました。例えば通院歴がない場合や働いている場合などです。「この方たちにサービスを届けないのはいかがなものか」そんな思いからmanaby WORKSを立ち上げました。
ーーサービスを受けられる方の幅を広げたんですね!
岡﨑:manaby WORKSは、障害の有無関係なく定額制でどなたでもご利用いただくことができます。この金額を決めたところにもエピソードがありまして。
ーーどんなエピソードですか?
岡﨑:あるソーシャルワーカー*の方から、「筋ジストロフィー*の患者さんにmanabyのサービスを提供できないか」というご相談を受けたんです。当時は療養と就労の両立は不可能だと考えられていました。しかし、「就職にチャレンジしたい」という患者さんのお声を頂き、無理なく払える月数千円の金額でサービスの提供を開始することに決めました。
正直なところ料金を抑えているので、事業としては苦戦している部分もあります。ですが、筋ジストロフィーの患者さんが実際にmanaby WORKSを利用してくださり、就職を叶えられているのです。うれしいですね。manabyのミッションに少しずつ近づけていると実感しています。
※ソーシャルワーカー:
病気や障害などで問題を抱える人に対して社会福祉支援を行う専門職
※筋ジストロフィー:
骨格筋の壊死・再生を主病変とし、進行性の筋力低下を認める遺伝性疾患。
ーー実際に事例が出たのはとても嬉しいことですね!
行動を重ねてできた今の道
ーー岡﨑様はmanaby以前から就労支援の分野に携わっていたということなんですが、以前からこの分野に興味があったんですか?
岡﨑:実はこの分野を選んだのはたまたまなんです。
大学1年生の頃、起業をするために多くの創業者の方に話を聞きに行っていました。その中で、就労支援事業を展開しているベンチャー企業の創業者の方と出会い、直感的にもっと学びたいと思いました。
その企業でインターンに参加したのですが、同期が30人いた中、最終的に残ったのが僕1人でした。「自分はこの分野に合っているのではないか」と思い、就労支援の道に進みました。
ーー行動を積み重ねていった結果、今の道ができていたのですね!
起業をしたいという想いはいつからあったのですか?
岡﨑:高校2年生の時からです。将来を考えた時に、できれば自分で一緒に働く人や環境、仕事内容を選びたいと思いました。起業をすればそれらが叶えられると思いましたね。
ーー確かに起業すれば全部自分で決められますよね!
岡﨑:はい。それで起業に関することを学ぶために、宮城大学の事業構想学群に入りました。でも授業を聞くだけでは起業できないと思ったんです。それから「起業をした先輩方に直接話を聞きに行こう!」ということで色々な方に聞きに行きました。
ーー行動力がすごいですね!
ちなみに就労支援に対するモチベーションはどこから来ているのでしょうか?
岡﨑:僕自身、障がい者の方々の思いや悩みに共感することが多かったんです。多数派や社会に無理やり自分を合わせるのではなく、個性を活かした生き方や働き方ができる社会がいいなと思いました。正解がない中でみんなに合わせて生きるのはおかしいと。
ーー以前からそのような想いがあったのでしょうか?
岡﨑:そうですね。僕が高校生の時、サッカー部のキャプテンをクビになったことがあるんです。
ーークビですか!なぜクビになってしまったのですか?
岡﨑:僕はたとえ監督の意見でも、自分が納得しなかったら反論していました。そのため、監督からしたら扱いづらかったんじゃないかと思います。でもクビになった次の日には、いつもと変わらず練習に行っていました。
ーー落ち込むことはなかったのですか?
岡崎:客観的に考えて僕にはキャプテンという役割が合っていないとも感じたので、仕方がないと考えていました。少しは気にしたと思いますけどね。
ーー適材適所の考え方を大切にされていたんですね!
岡﨑様の個性に対する想いが伝わりました!
全員のおかげで今がある。
ーー実際に起業をされて、大変だったことをお伺いしたいです。
岡﨑:日々いろいろな大変なことがあります。ですが、自由と責任は比例すると思うので、大変なのは当たり前だと思っています。
ーーおっしゃる通りだと思います…!
では、そんな岡﨑さんが一番力を入れて取り組んだことを教えてください。
岡﨑:すべてに力を入れましたね!具体的には、どんなことをどの順番でやっていくかを考え抜くことや、採用やそれらに伴う資金の交渉などです。いわゆるヒト・モノ・カネと言われるところです。やれる限りのことはすべてやってきました。
ーー「すべてやってきた」と言い切れるのがカッコいいです!
ちなみに実践していく際に参考にしていたことはありますか?
岡﨑:多くの人から話を聞いて自分の考えを整理しつつ、学ばせて頂きました。現場のスタッフを始め、利用者様から直接お話を聞く機会もありました。会う人会う人全員から学ばせて頂きましたね。
ーー色々な人のお話をすべて学びに変えていったのですね!
これらのことは岡﨑様1人で行動されていたのですか?
岡﨑:最初は1人でやっていました。1年目は10数人で、3年目で30人、4年目で50人、6年目で100人と段々と仲間が増えていきました。
全員のおかげで今の会社があると思っています。manabyのメンバーにはいつもめちゃくちゃ感謝しています!
優しさ・賢さ・強さ
ーーmanabyの社員さんの雰囲気はどんな感じなのですか?
岡﨑:manabyに関わっていただく方から言われるのは「いい人が多い」ということです。
ーー素敵なお言葉ですね!
「いい人」とは具体的にどのような人なのでしょうか?
岡﨑:定義しづらいとは思いますが、他者への配慮ができる人ですかね。
採用募集の際にも、優しさ・賢さ・強さの3つをキーワードとして掲げています。だから必然的にそのような方たちが集まるのだと思います。
ーー優しさ・賢さ・強さの3つを挙げた理由はどういったものがありますか?
岡﨑:まず優しさは、「一人ひとりが自分らしく働ける社会」を作っていくためには他者への配慮などの優しさが不可欠だと思うんです。
とはいえ、ただ優しかったらいいかというとそうではなくて、理想の社会の再現性を出すためには考え尽くす賢さが大事になると思います。
ーーどちらもとても大切なことですね!
岡﨑:そうですね。最後の強さは、スタッフから生まれた言葉なんです。創業時、コロナ前には、まだ在宅の考え方があまり浸透していませんでした。そういった状況で、壁を乗り越える強さが必要だとなりましたね。
ーー確かに挑戦する時に強さは欠かせないですよね!
このような社員さんの中で、特に活躍している人はどのような人ですか?
岡﨑:しっかり行動する人です。これはmanabyが大切にしている価値観の1つである「Do now*」にも当てはまるのですが、やはりしっかり行動してその後責任もちゃんと持つことができる人は成長スピードが速いように感じます。
※manabyの価値観(3Value+1)のうちの一つ
(https://manaby.co.jp/philosophy/)
ーーまさにその通りだと思います!
自分らしく働ける人を増やしたい!!
ーー岡﨑様が今後、manabyで社会にどんな影響を与えていきたいかをお伺いしたいです!
岡﨑:自分らしく働けて、自分らしく生きられる人を増やしたいです。一人ひとりが自分らしくいられたら、いまよりもっと幸福度の高い人が増えると考えています。
ーー「自分らしく働ける」というのはどういう状態なのでしょうか?
岡﨑:僕自身まだ定義しきれていない部分もありますが、その組織でできるだけ長く健やかに働けている状態だと今は考えていますね。自分らしさは他者との関わりの中で生まれると考えると、自分が無理をしていない状態が自分らしいのだと思います。無理をしていなければ同じ組織で長期間働けるのではないかなと思います。
ーーとても分かりやすいです!
もう1点、岡﨑様が人生で大切にしている考え方や価値観をお聞きしたいです。
岡﨑:「自分に正直であること」を一番大切にしています。やらなければいけないこともありますが、とはいえ自分の気持ちに嘘をついてまでやることではないと常に思っています。
ーー起業やサッカー部の話にも通じるものがありますね!
最後に学生にメッセージをお願いします!
岡﨑:一番最初の就職はやはり大事ですが、失敗しても大丈夫だと伝えたいです。どこで何が役に立つか分からないですし、何が自分らしい生き方かは変わっていくものだと思います。仮に失敗しても人生終わりだと思わず、チャンスになる可能性もあると考えてほしいですね!
ーー本日はありがとうございました!
事業内容:
就労移行支援 manaby
障害のある方が働くまでの道のりを包括的にサポートする障害福祉サービス。
就労継続支援B型 manaby CREATORS
生産活動の機会を提供する障害福祉サービス。自由に作品を創作し、Webメディアで発信します。
オンライン学習 manaby WORKS
仕事に役立つITスキルをいつでもどこでも学べる定額制eラーニングサービス。
MISSION:
一人ひとりが自分らしく働ける社会をつくる
VALUE:
・Crew first クルーの内なる声を知る
・Think deep 圧倒的に考え抜く
・Do now 行動が全てを変える
・…always with love 愛を込めて
インタビュアー:佐藤徹
ライター:奈良美咲