企業紹介 2022.12.16

人事の山口が問う。 「あなたにとって『働く』とはどんな意義がありますか?」

株式会社ファストコムの山口大介(やまぐち だいすけ)さんに取材をしてまいりました。異色なご経歴を持つ山口さんが、こんな時代だからこそ若い世代に伝えたいメッセージをお聞きしてきました!

 プロフィール

 山口大介(やまぐち だいすけ)
大手警備会社にてSP(身辺警護員)を担当し、退職後は国内でフリーランスのSPとして2年間活動。プレーヤーとしては合計10年の実績を積む。
その後、SPとして自身の引き際を考え、HR(人事職)に転身。
現在はベンチャー企業の人事部長となり、採用・労務・人事など、幅広い領域を担当している異彩人事。

 

人事のあれこれ聞いてみた!!

ーー本日はよろしくお願いします!
早速ですが、山口さんの現在の業務内容についてお伺いしてもよろしいでしょうか?

 

山口:人事部マネージャーとして採用・広報、労務、人事・組織・制度などを扱っています。

 

ーーそれぞれ具体的にはどのようなお仕事なのですか?

 

山口:採用はみなさんご存じの通り、新しい仲間を獲得する仕事です。労務では契約書類の作成や従業員が保険に加入するべきなのか否かなどの精査を行っています。その他にも税金のことや法令に関して従業員からの質問に対応しています。人事・組織では一緒に働く仲間たちを笑顔にするべく制度を整えたり配属を考えたりしています。

総じて言うと、人事である僕の仕事は会社を守ることです!

 

ーーすごくかっこいいお仕事ですね!
人事としてお仕事される中で1番楽しいと思うことは何ですか?

 

山口:一緒に働く仲間を獲得することですね。これまで営業なども経験しましたが、僕には合わないなと思ったんです。それよりも、もしかしたら未来の社長を僕が採用するかもしれないという期待感がある人事という仕事がとても魅力的でした!

 

ーー確かに一緒に働く仲間を自分で探せるというのはとても楽しそうです!
山口さんはお仕事の中で何を意識されていますか?

 

山口:『正しさを追求すること』『客観的な事実をもとに判断すること』の2つを意識しています。

 

ーーそれぞれ具体的にお伺いしてもよろしいですか?

 

山口:1つ目の『正しさを追求すること』は、求職者に誠実に対応したり、仲間に対して真剣に向き合うようにしています。社会的に公正かを常に考えるよう、後輩にも伝えている大事なことです!

 

ーーなるほど!

 

山口:2つ目の『客観的な事実をもとに判断すること』は特に採用活動で意識しています。例えばどこに求人票を出すか決める時、ターゲットがその媒体にどのくらい在籍しているのかを営業担当に聞いています。属性データなどを全部提出してもらった上でどこに出すかを判断しています。

 

ーー求める人材が少ないところへ求人を出しても意味がないですもんね。

 

山口:また面接の時でも客観的な事実は意識しています。

 

ーー山口さんは面接時にどのような質問をされているのですか?

 

山口:僕は面接で「今日の面接までにどんな準備をしてきましたか?」と必ず聞いています。多くの人は「HPや口コミを見ました」と答えますが、僕の中では少し物足りないんですね。面接官の思考を盗んで臨んでいるかを見ています。

 

ーー面接官の思考を盗むとはどういうことでしょうか?

 

山口:例えば、僕はTwitterやnoteをやっているので、それらを見て相手がどんな人間なのか、面接では何を聞くのかなどを調べます。ちなみに僕はnoteに面接で聞くことをあえて書いていたりします。

 

ーーなるほど。

 

山口:「今日の面接までに山口さんのTwitterやnoteを拝見してきました。そこで気になる点があったので、それもお聞きしてもよろしいでしょうか?」

このように答えられる人はとても良い印象を受けますし、そういった客観的な事実を持っている人は面接が通りやすいかなと思いますね。

 

ーー事前に調べてきて「ここ気になりました!」と質問してくれると好印象ですよね!
とても勉強になります!!

 

ブライダルコーディネーターからカッコよさを求めSPに転身!?


ーー山口さんがファストコムに入社される前はどのようなお仕事をされていたのですか?

 

山口:僕は色々な経験をしてきたんですよ。
大学卒業後は、共済組合でブライダル事業を担当していました。実はブライダルコーディネーターの資格を持っているんですよ!笑

 

ーーえー、とても意外です!

 

山口:業務としてはブライダルフェアの立案や、結婚式場を使いたいというお客様に対して資料送付をしたりなど色々担当していました。またブライダルコーディネーターの教育も行っていましたね。

 

ーー幅広く取り組まれていたんですね!

 

山口:しかし、生協法の改正に伴いブライダル事業が株式会社になったり、事業が売却されるかもしれないという状況になったんです。また、そのタイミングで、ブライダルやマネジメントについて、自分なりの教科書ができたので、転職をすることに決めました。

 

ーーそうだったのですね。

 

山口:次の仕事を何にするのか考えている時に、転職サイトでSECOMの求人を見つけました。そこに”未経験でもSPになれる”と書いてあり、他の人がやったことのない世界を見たいと思い、面接を受けることに決めました。

 

ーー確かにSPは面白そうですね!
SPとして目指している人物像はあったのですか?

 

山口:入社試験の際にも「どうしてSPになりたいんですか?」と聞かれましたが、「僕はカッコいい男になりたいからです!」と答えました。

大体の人はそのような質問に対して「強くなりたい」とか「悪いやつから大切な人を守りたい」と答えると思います。僕の場合は山口くんにだったら命を預けられると言ってもらえるような信頼感のあるカッコいい人間になりたかったんです。

 

ーー頼りがいのある人はかっこいいですもんね。

 

山口:また面接時に当時の人事部長から「まずは警備を3年間勉強したあとに、SPの選抜試験があります。受かるかどうか君次第だけど、チャレンジしても良いよ。」と言われました。そして皆さんがよく街で見かける警備員からスタートしたのですが、入社半年後に上司から「山口くん、選抜試験を受けないか?」と言われたんです。

 

ーーえっ、3年のはずじゃなかったんですか??笑

 

山口:そうなんです。僕もびっくりして「あれ、僕まだ半年ですよ。」って上司に言いました。そしたら「お前が本当にやりたいんだったら、部長や課長から推薦状をもらってくる。」と言って、実際に3人から推薦状をもらってきてくれたんです!

 

ーーそれはすごく嬉しいですね!

 

山口:本当に人に恵まれたなと思いました。上司がそこまでやってくれたので、下手はできないぞと思いSPの選抜試験を受けることにしました。体力試験や学力試験、実技試験など色々あったのですが、結果的に合格することができたんです。

 

ーーおー!それはよかったですね!!

 

山口:その後、SECOMでSPとして登録され仕事をしていきました。皆さんがご存じの著名人やアーティスト、政治家の方々の警備をしていました。しかし、ある出来事がきっかけでSECOMを辞めることになりました。

 

ーー何があったのですか?

 

山口:東日本大震災がきっかけでした。僕は震災遺族で、宮城県に住んでいた叔父を津波で亡くしています。当時、一族みんなで助けに行こうと声がかかったのですが、僕はSPの仕事の真っ只中でした。

 

ーーそうだったのですね。

 

山口:少し皮肉ですが、社会が混乱するとSPなどのセキュリティの依頼が増加します。しかし、僕にも個人として守りたい人たちがいるんです。そこですごく考えました、正義って何なんだろうと。

 

ーーとても難しい問いですね。

 

山口:おそらく一流のSPの方だったら「自分のことよりもお客様の命を守る」と言ったと思うんです。でも僕はすぐに答えを出せず、2年間悩み続けましたが、結局答えは出ませんでした。その時「あ、これはもう無理だ。」と思い、SECOMのSPバッジを置くことにしました。

 

ーーとてももどかしい時期を過ごされていたんですね。

 

山口:その後、SECOMは辞めましたがSPとして自分の腕がどこまで通用するのかを確かめたくて国内でフリーランスのSPとして活動するようになりました。新宿歌舞伎町をメインとして”夜のトラブル解消人”みたいな仕事をしていました。2年くらいその仕事をやって、これは定年までできる仕事ではないなと思ったんです。その後、転職した会社で人事というポジションに出会いました。これが僕の人事キャリアのスタートになります。

 

ーー前職で本当にたくさんのご経験をされてきたのですね!

 

ビジョン実現のために選んだファストコム

ーーどのような経緯でファストコムに入社されたのですか?

 

山口:まず前職では人事として年間300人の採用を1人で行なっていたんですね。応募数4000件、面接1300件、そして採用300人を3年間1人でやり続け、従業員数と売上を3倍にしました。

 

ーー数多くの人の採用をやった上に売上にも貢献されたのですね!

 

山口:警備会社としては異常事態なくらいの出来事だったと思います!笑
しかし、そこで目標を見失ってしまったんです。当時は社長を目指す以外の目標は無いなと思い、別の目標を探すために転職を決意しました。

 

ーーそうだったのですね。

 

山口:そこでWantedlyをきっかけにファストコムを知りました。もちろん他の企業の面接を受けていきましたが、ファストコムだけが、僕が思い描いているビジョンを認めてくれたんです。

 

ーーどんなビジョンを思い描いているんですか?

 

山口これからのキャリアを自分が体現して、それをどんどん発信できるような人事になりたいということです。他の企業では「やめた方がいいんじゃないか」と言われましたが、ファストコムの代表は「やりたいことをやりなさい」と言ってくれたんです。さらには僕のために新しいポジションを置いてくれたので、「そこまでしてくれるのであれば、この会社で頑張ろう」と思い、入社を決めました。

 

ーーなるほど!山口さんの思い描いているビジョンを肯定してくださったり、その実現のサポートまでしてくれたから入社をしようと思われたのですね!

 

山口:そうですね。あとはすごく優しくて魅力的な方だったというのもあります。今までSPとしてたくさんの企業の経営者の方とお会いしてきましたが、その中でも1番優しいんじゃないかと思うくらい素敵な方なんです。なので、この代表のもとで働きたい、色々楽しいことをやりたいと思ったのも理由です!

 

ーー素敵な代表さんなのですね!!

 

代表が目指す先は自給自足?!(ファストコムには社員に毎月お米を支給する福利厚生があります!)

ーー先程、代表の魅力についておっしゃっていましたが、どのような点でそう思われたのですか?

 

山口:節々でそう感じるのですが、まず最初は選考中の時でした。2回目の面接が代表との面接だったのですが、「山口くんとは会議室で話してもしょうがない。どこかで食事でもしながら話さないと答えが出ない。」と言われ、お酒を飲みながら代表とお話ししました。

 

ーーお酒を飲みながらですか!笑
どんなお話をされたのですか?

 

山口:基本的には代表が考えていることを聞きました。それらに対して僕だったらどう考えるかを伝えたりしましたね。ユーモアのある代表なので、一般的な答えでは満足できないというか、個性的な答えを出さないといけない感じはありましたね。

 

ーーなるほど!

 

山口:あとはHPにも記載されていますが、弊社は何をするかではなく、誰とするかを重視している会社なんです。利益を生み出すことも大事ですが、それよりも気の合う仲間で何ができるのかを考えるという想いのある代表なんです。だから、建築・Web・メディアなど多彩な事業展開をしていますし、さらには絵画コンクールも主催したことがあります!笑

 

ーー幅広いですし、絵画コンクールもやられたんですか?笑

 

山口:そうなんですよ!笑

またそれをひらめきでやるんですよね。僕が入社して一か月経ったくらいの時に「山口くん、小学生を対象にしたSDGsに関する絵画コンクールを開催するから、手配よろしく!」って言われたんですよ。僕やったことないんですよ!笑

 

ーーコンクールを主催するなんて経験は普通の人にはないですもんね。

 

山口:ある時、「会社として、どんなことを目指しているんですか?」と代表に聞いたことがあるんです。そしたら自給自足をしたい。と言っていました。

 

ーー自給自足ですか?笑

 

山口衣食住に関しては会社が負担します。なので、従業員の皆さんは楽しいと思う仕事だけをやりなさい。そこで得た利益で自分たちのライフワークにつながるようなことをすれば良い。そういう会社なので、事業の振り幅が大きいですし、僕みたいな変わった人事を採用してしまう笑
事業ありきではないので、ぶっ飛んだ面白さがある会社ですね!!

 

ーーとてもいいですね!!笑

 

山口:そんな理想を掲げている代表に伴走しているので、八丈島か小笠原の方に村でも作ったら面白いかなぁなんて思ったりもしています!笑

 

ーー村ができたらぜひお邪魔させていただきたいです!笑
そんなファストコムにはどんな方が多いですか?

 

山口:色んな背景を持った方が多いですね。あとは本当に風通しの良い会社だと思います。横のつながりはもちろん、縦のつながりも良いので話しかけやすい環境かなと思いますね。

 

ーー風通しの良さは魅力的ですね!!

 

山口:僕自身、部下を持っていますが、なるべく緊張させないように「同じ質問を何回でもしなさい。10回聞いてもいい。11回目に出来たらベタ褒めします。」と言っています笑

みなさんこんな感じですね。でも、仕事に対してはストイックで仕事にフルスイングしている方がたくさんいます!

 

ーー仕事に対して情熱を持っている方が多くて、しかも仲の良さがあるというのは素敵です!!

 

サラリーマンだって自由なんだよ。

ーー山口さんが考えているキャリア観についてお聞きしてもよろしいですか?

 

山口:みなさんにとっての働く哲学を持って欲しいなと思っています。極論、働こうが働くまいがどっちでも良いかなと思っています。ただ「大学卒業したら働かないといけないんでしょ?」という固定観念でダラダラ自分のキャリアを歩んでしまうのはもったいないなと思っています。

 

ーー確かに私も、「大学卒業したら就職しないと」と思っていました…。

 

山口:また経済面においてもメリットが少ない時代だと思うんです。だから、どういう社会的な意義を持って働けるのかが大切だと思っています。

 

ーーありがとうございます。確かに自分が働く意味を考えることは大事ですよね。
山口さんはどのようなビジョンを掲げていますか?

 

山口:僕は『人事の山口』として世間に認知してもらい、今の時代は自由に働けるということを発信したいなと思っています。

悲しいことに現在の日本では若年層の自殺率が多いんですね。生活していると働くことに費やす時間が多いですが、一流企業でさえ労災などに悩んでいます。そんな世の中になっていることが僕の中ですごく胸が痛いですし、許せないなと思うんです。

そこで人事として何かできることはないかと思い、メディアに出てビジョンの体現と発信をしたいと考えました。ただの人事ですが、テレビ番組に出演したり、コラムも執筆するなど自分がやりたいことができる時代なんです。働くってもっと自由なんだよということを世の中に発信していきたいなと思っています!!

 

ーーすごく素敵なお考えですし、実際に体現に向けて取り組んでいらっしゃるのはすごいなと思いました!
本日の取材は以上となります。ありがとうございました!

 


株式会社ファストコム


事業概要:
ファストコム クリエイティブ

WEB、映像、クリエイティブ、空間、プロダクト…さまざまなクリエイティブに対応。

建助事業
建築会社様やハウスメーカー様の「面倒な業務」を、黒子としてトータル的にサポート。

ニッポン手仕事図鑑
日本が誇る「ものづくりの現場」の情熱や文化、技術を、動画で残していくメディア。

理念:
社員の「やりたい!」と、社会の「ほしい!」を、両思いにする。

使命:
小さな声を、大きな声に。
「ひとりひとりの職人の声」に耳を傾けて、日本のものづくりの魅力、文化、技術の継承に貢献する。
「ひとつひとつの地域の声」に耳を傾けて、課題を解決するためのアイデアを創造する。
「ひとつひとつの企業の声」に耳を傾けて、企業価値を高めていくための活動を支援する。
「ひとりひとりの消費者の声」に耳を傾けて、日々の暮らしを豊かにするお手伝いをする。
そして、「ひとりひとりの社員の夢」に耳を傾けて、社員が夢を叶えられる舞台をつくる。

行動指針:
最高のチームでいるために、「未来につながらない思考」を捨てる。



インタビュアー:櫻井
ライター:佐藤