子どもたちからも一緒に働きたいと言われる会社を目指す
〜MIRAIが目指す新しい物流のカタチ〜
MIRAIグループの代表取締役である木全さんに取材をして参りました。物流業界ではユニークな取り組みをされているMIRAIグループの雰囲気や今後目指していることについてお聞きしてきました!
プロフィール
MIRAIグループは、運送・総合配車、倉庫管理・構内作業、バックオフィス業務などの事業を手がけています。木全さんはMIRAIグループ代表として、渉外はもちろん採用・広報にも携わっています。
攻めのSNS運用
ーー本日はよろしくお願いします!
早速ですが、MIRAIではTikTokやInstagramなどのSNSを活用されていますよね。始められたきっかけは何だったのですか?
木全:採用活動の一環として、もっと求職者に直接アプローチをして色んな人たちに会社を知ってもらおうと思い、始めたんです!
ーー具体的にはどのような背景があったのですか?
木全:弊社のような地方の物流会社が求人募集をする際、地元やご年配の方からの応募はあるのですが、若い方からの応募が少ないんですね。そのため、SNSを使って若年層の方たちへ直接PRをしていき、興味を持ってもらえるようにしようと考えました!
ーーなるほど!SNSを使えば、色んな人たちに会社の魅力を伝えられますよね!
現在はどなたがSNSを運用しているのですか?
木全:広報と採用チームがSNSの運用をしています。以前までは別社員が通常業務と兼任していましたが、両立が難しく、アカウントを運用できない時期が続いてしまったんです。このままだと意味がないと思い、専門チームを作り、現在はブランドマネジメント室として兼子*と谷川*が中心となって運用しています!
※兼子:株式会社みらい採用担当者
※谷川:株式会社みらい広報担当者
ーーそうなんですね!
実際、そのような取り組みに対してみなさんどのような反応でしたか?
木全:SNSでは現場の雰囲気を投稿するのですが、やはりみなさん最初は撮影されることに抵抗感がありましたね。カメラを向ければやってくださるのですが、慣れるまでが大変でした。自分自身もですが(笑)
しかし、撮影を続けることで現場スタッフが撮影を楽しんでくれるようになっていったと感じます。そのような雰囲気を作れてよかったと思いますし、「自分たちで採用をやっているんだ!」と現場スタッフが感じてくれています。そんな姿や様子を投稿していき、たくさんの求職者が来てくだされば大成功かなと思っています!
ーーみなさん楽しそうに取り組んでいらっしゃるのは、とても良いですね!!
子どもたちを通して芽生える誇り
ーーSNSに続いて、安全・交通に関するCSR活動として『こどもミュージアムプロジェクト』に参画されており、大型トラックを用いた『交通安全教室』を行っているとお聞きしました。具体的な活動についてぜひ教えてください!
木全:こどもミュージアムプロジェクトは、こどもが描いた絵をトラックの背面扉に貼ってトラックを走らせ、あたたかな絵を掲げて交通安全に意識を向けるというプロジェクトです。これらの大型トラックを使用して、交通安全教室も実施しています。その際に絵がラッピングされたトラックをみんなへお披露目しています。
「運転席からの死角」を確認したり、「トラック背後からの飛び出しの危険性」もお伝えしていたりします。大型トラックを使っての交通安全教室は珍しいので、子どもたちからとても人気なんです!!
ーー運送用のトラックを使っての交通安全教室は迫力がありますね!!
そのような活動には木全さんのどのようなお考えが反映されているのですか?
木全:「面白そう!」とか「やってみたい!」などの好奇心はもちろんですが、既成概念に囚われず「運送会社がこんなことしてもいいんじゃない?」という思いがありましたね。
ーーなるほど!
木全:しかし、元々これらは『何とかして交通事故を減らしたい!』という考えから生まれたものなんです。
ーー具体的にお聞きしてよろしいですか?
木全:MIRAIが最終的に目標としているのは、社員はもちろん、そのお子さんからも「ここで働きたい!」と思えるような会社にすることです。
そう考えると例えば、年間1件でも人身事故を起こすような運送会社が、従業員を幸せにできるとは思えません。事故を1件ずつ減らしていき、最終的には0件にしたいと考えています。また私たちのような会社が事故件数を0件にすることは地域貢献にも繋がります。「私たちが頑張っているおかげで、愛知県から交通事故が減ったよね!」と思えるような状況にできれば自分たちが輝ける職場に近づけると考えています。
ーーそのようなお考えがあったのですね!そのような想いを持つMIRAIがどんどん大きくなることによって、事故件数を業界全体で減らすキッカケになるかもしれないですね!!
木全:そうですね。また私が幼いころに父親のトラックに乗せてもらい、配達に行くことがあったんです。父親が働いている姿を間近で見ていた当時の記憶がすごく印象に残っていますし、「お父さんってすごいなぁ〜」と憧れていました。
ーー小さな子どもから見ると、大きなトラックを運転している姿はかっこよく写りそうですね!!
木全:しかし現在は、子どもと一緒に配達することは法律で許されないため、私のように自分の父親がトラックに乗っていても誇りに思う子どもは少ないと思います。
ーー確かにそうかもしれないです。
木全:実は『こどもミュージアムプロジェクト』をやろうとなった際、ドライバーさんたちから「子どもたちを乗せるとトラックが汚れてしまうかもしれない・・・」という不安の声がありました。けれども、実際にやってみて子どもたちの喜ぶ姿をみて、ドライバーさんが楽しんでくれたり、誇らしさを感じてくれています。
ーーそうなんですね!
木全:さらにドライバーさんたちの意識も変わってきています。子どもたちに見せても恥ずかしくない運転をしようという考えが出てきて、また本人たちもドライバーであることに誇りを持ってもらえた良い機会となっています。
ーードライバーであることに誇りを持っていらっしゃることをどんどん発信していきたいですね!!
突然の代表任命から待ち受ける試練
ーーこれまでMIRAIのユニークな施策についてお聞きしてきましたが、木全さんはどのような経緯で代表になられたのですか?
木全:グループ会社の社長が勇退となり、創業者の父から「お前、明日から代表な。」と言われて代表になったという経緯ですね。
ーー突然だったのですね!!笑
代表をやってほしいと言われた時は、どんなお気持ちでしたか?
木全:1番最初に出てきた感情は『わからない』でしたね(笑)
ーーそれはそうですよね(笑)
木全:実は関連会社に入って半年くらいの時期に、私が代表になるという話が上がっていたようです。それを少し聞いており、代表を引き受けたのですが、正直何をして良いのかわからなかったです。当時の私は今の運送業とは全く違う業務を行なっており、詳しいことは何も知りませんでしたし、勉強する時間もない中、代表になりました。
ーーそれは大変でしたね。
木全:そうですね。しかし、ある出来事がきっかけで「代表としてしっかりやっていこう」と責任感が生まれたんです。
ーー具体的にどのようなことがあったのですか?
木全:2013年ごろ、グループ会社の売上の8割を占めるお客様からの取引が大幅に減ってしまって、年間の売り上げが1億円下がることになってしまったんです。
ーー1億円もですか!?
木全:毎月の売上がどんどん下がっていく中、さらにお世話になっていたお客様が大手に会社を売却することになったんです。それをきっかけに今までお取引していた内容の変更を相談いただくこともありました。
ーーどのような相談だったのですか?
木全:詳しくは控えますが、その相談を承諾してしまうと会社を存続できないほど影響が出てしまう内容でした。
ーーかなり厳しい状況ですね…
木全:そこで覚悟が決まったんです。
ーーどのように危機的状況を乗り越えたのですか?
木全:まずは会社を存続させるためにお客さまから頂いた相談に「その条件ではできません!」とキッパリ断りました。逆に私の方からも取り組みに対してプレゼンをさせていただいた結果、お客様にも納得いただいて、何とか危機を乗り越えました。
ちなみにそのお客様とは今でもお取引をしています!
ーードラマみたいなお話ですね!
木全:しかしまだ、ピンチは続いていて売上が1億円下がるという噂が広まって、「あそこの会社、潰れるらしいよ」という風評被害が出てしまっていたんです。
その結果、取引が停止されてしまったり、トラックを売ってもらえないこともありました。
ーー一筋縄ではいかないですね…。
木全:とにかく必死で新しい取引先を探したり、銀行さんとお話ししましたね。
ーーそんなことがあったのですね。非常に大変な時期だったと思うのですが、その時にお世話になった方などはいますか?
木全:現在の税理士の先生にはすごくお世話になりました。半年ほど毎晩夜中まで打ち合わせをしたり、ファミレスで話し合うこともありました。当時は会社全体で色々な動きがあったので、会社の全てのことを見直すつもりでお話しをしていました。
ーーそれは大変でしたね。
その時期を境に木全さんが引っ張っていこうと決められたと思うのですが、以前の体制と変えた点などはありますか?
木全:今までよりも色んな社員さんと喋るようになったり、社員さんに勉強に行ってもらったりをするようにしました。以前までは代表の意見に賛同する人が多く、トップダウンで全て代表が決めるという感じでした。しかし、私は意見を言ってくれたり、苦言を呈してくれる人が必要だと思っているので、みなさんとコミュニケーションを積極的に取っています!
ーー先日御社の方とお話をした際に「凄く働きやすいんです」とお伺いしていたので、そう言った取り組みが働きやすさに繋がっていると感じました!!
俺がやらなくて、誰がやるんだ!!
ーーこれまでのお話から、木全さんは『やってやるぞ』精神が強い方だという印象を受けました。以前からピンチになった時に力が発揮できるタイプだったのですか?
木全:そんなことはなくて、もともとはトラブルをうまく避けるような人間でした。「ここまでやってけば大丈夫だろう」みたいな線引きができるタイプだったので、特に「やってやるぞ!」みたいな思いは持っていませんでしたね。
ーーそこはやはり代表になられてから変化したのですか?
木全:そうですね。先ほどの出来事がきっかけで「自分がやらないとダメだ」ということに気づき、意識が変わっていきましたね。
ーー当時はどのようなお気持ちだったのですか?
木全:問題が起きて1番最初に思ったのは「もしこの会社が潰れてしまったら、僕はどうしたら良いんだろう」ということです。今まで『会社を継ぐ』という親が敷いてきたレールに沿って生きていましたし、そこしかありませんでした。そのため、会社が無くなったらどうすればいいんだろうという思いでした。
ーーそうだったのですね。
木全:それに加えて、この会社で働いているみなさんのためにも頑張ろうという使命感もありました。弊社には長年働いてくださっている方々がたくさんいますし、自分自身、さまざまな現場でたくさんの方と仲良くさせてもらってきました。そのようなスタッフたちのためにも、この会社を継続させようと思っていましたね。
ーー恩返しの気持ちから乗り越えていこうと思われたのですね!!
子どもたちに明るいMIRAIを見せる!
ーー木全さんが思う物流という仕事の魅力は何だと思われますか?
木全:あまり光があたらない仕事ではありますが、普段の何気ない生活を支えているということが1番の魅力かなと思いますね。私たちはトラックを扱っていますが、例えば中国で物が作られてそれが日本に運ばれてくるのも物流です。
ーー確かにそうですね!
木全:ある時世の中の情勢によって、綺麗な物流の流れが途絶えてしまうことがあります。物流全体で言うと、普段は一切目立つことがないですし、それでも良いと思っています。ただ、黒子としての誇りはあって、ちゃんと流れている状態を作るのが我々の仕事であり、そこが物流の魅力だと考えています!
ーー素敵です!!
最後にこれからのMIRAIグループをどのような会社にしていきたいかをお伺いしたいです!
木全:現在、最終的な目標として掲げているのは『子どもからもMIRAIで働きたいと思ってもらえる会社』ということです。
親が「MIRAIに来なよ」と言うのではなく、子どもが働く親を見て「そこへ行きたい!」と思える会社にしたいです。それはとても難しいことで、働くことは楽しいことばかりではなく、辛いことや嫌なこともたくさんあると思うんです。けれども、それも全部引っくるめて「ここで働きたい」と思ってもらえるような会社にしていきたいなと考えています。
ーーこどもからも働きたいと思ってもらえたらすごく素敵ですよね!!
木全:あと、これから入ってくる新卒の方たちは会社に帰属意識を持ちづらい年代だと思うんですよね。それは当然かなと思っていますが、それでも一緒に働いている人たちが居心地の良い会社にしたいなと思っています。会社を存続させることも大事ですが、社員1人ひとりが輝けるような会社にしていきたいです!!
ーーずっと働きたいと思える会社が理想ですよね!
これで取材は以上となります!ありがとうございました!
事業・会社紹介:
日本の経済活動や地域の人々の暮らしを支える「物流事業」を展開しています。原材料・製品・商品などの輸配送と、それに伴う倉庫管理・荷役・情報管理などを主たる事業としています。
・運送・総合配車:
高見起業株式会社
株式会社翠星
・倉庫管理・構内作業:
有限会社タイホー荷役
・グループのバックオフィス業務:
株式会社みらい
理念:
未来へつなぐ 人づくり
ビジョン:
親から子へ想いを継承できる環境を創り、関わる人々と共に永続する企業をつくる
インタビュアー:伊藤香輝
ライター:佐藤徹