企業紹介 2023.02.23

エンジニアも新卒採用も! ~Beyondのマインドで目指す、T字型人材~

株式会社ナウキャストの大野巧作様に取材をしてまいりました。インターンから入社にいたるまでの経緯や、エンジニアと人事の両方で目指している将来像についてお伝えしていきます!

 

プロフィール

大野 巧作様

東京大学大学院理学系研究科にて、素粒子理論を専攻。在学中いくつかのITベンチャーでインターンを経験し、機械学習を用いたプロジェクトに従事。2020年3月に大学院修了後、ナウキャストへ入社。主にPOSデータを取り扱うパイプラインの作成・管理、またそのデータの分析を担当する。趣味はAtCoderやKaggleのコンペ参加。KaggleではCompetition Masterを獲得したほか、複数のコンペで受賞歴あり。

 

データ分析をやりつつ、新卒採用も!?

本日はよろしくお願いいたします!
早速ですが、現在の業務を教えてください!

 

大野:Finatextホールディングスの子会社であるナウキャストで、エンジニアとしてオルタナティブデータを扱う業務を行っております。またサブ業務として、Jr.HRというインターンの制度改善を行うチームに所属しており、新卒採用なども行っております。

 

ーー聞き慣れない言葉が出てきたのですが、”オルタナティブデータ”って何でしょうか…?

 

大野:端的に言うと、企業が出す決算書や公的統計などの代わりとなる新しいデータのことです。

例えば投資家の方は株の売買の判断のために企業が出す決算書などを参考にすることが多いですが、このようなデータは公表までに数週間から数ヶ月の時間がかかることがあります。そこでPOSデータやクレジットカードデータといったオルタナティブデータを利用すると、速報性をもって企業の足元の業績を予測したりすることができます。

 

ーーなるほど!

 

大野:その中でも、特にPOSデータと呼ばれるものを利活用する業務を行っています。

例えば、スーパーでお買い物をする時、商品のバーコードをスキャンするじゃないですか。そしたら『2020年の6月13日に500mlのお茶が1本売れました』っていう記録がデータベースに残るんですね。このようなデータがPOSデータなのですが、これらのデータを処理するシステムを作ったり、集めたデータを分析する、といった業務を行なっています。

 

ーー買い物の記録が残っているんですね!
そのようなオルタナティブデータはどこに使われているんでしょうか?

 

大野先ほどの例のように投資家の方々が使ったり、もっと身近な例で言うとニュースでも使われています。『コロナで巣ごもり消費が拡大している』とか、『オンラインショッピングが増えています』といった話が取り上げられることがありますよね。その根拠を示すために、フリップでデータを見せる時があると思うんですけど、それが弊社が算出した数値だったりします。あとは、日本銀行が経済状況を判断するために弊社のデータを使っていただくこともありますね。

 

ーーそんなところにも使われているんですね!!

 

大野このようにナウキャストではさまざまなオルタナティブデータを活用したり、分析を進めている会社です。

 

ーーなるほど。普段テレビで見るデータは、ナウキャストが分析したものだったりするのですね!
インターンの制度改善にも取り組んでいるということですが、こちらはどのような経緯で始められたのですか?

 

大野:弊社の代表の林が常々「若手のフレッシュで勢いのある人材や力が必要だ」と言っていたんですけど、スタートアップですので、HRメンバーのプライオリティはどうしても中途採用になってしまうんですよね。そんな時、インターンから新卒で入社した私や菅原*などが中心となって「こんなアイデアがあるんですけど、やっていいですか?」と代表に言いました。そしたら「やっていって欲しい」と言われたので始めることになりました。

 

※菅原様:Finatextのディレクター。大野様の同期でJr.HRの立ち上げ人。

 

ーーご自身たちで提案したのですね!

 

私が惹かれたポイント。『選択肢がたくさん!交流が盛ん!』

ーー大野様はインターンに参加していたということですが、きっかけは何だったのですか?

 

大野:私が学部4年生の秋頃、大学院入試が終わって落ち着いたのでインターンをしてみたいと思ったんです。当時はデータサイエンスとかディープラーニングが流行った時期でこういった技術を触ってみたいという気持ちがありました。そんな時、友人からFinatextのインターンを紹介してもらい始めることにしました。

 

ーー大学ではデータの分析だったりを勉強されていたのですか?

 

大野実はそうではなくて、大学院では物理の理論を専攻していました。ただ、機械学習や深層学習などは物理の知識が活かしやすく、そこからプログラミングなどにも興味を持ち始めました。データを扱ったり、勉強したい内容やプログラミング言語も近かったので、インターンがとても魅力的でした。

 

ーーなるほど、大学の勉強内容と通じる部分もあって興味が沸いたのですね!
実際に始めてられて、いかがでしたか?

 

大野:最初に興味を持ったのがデータサイエンスだったのですが、だんだんエンジニアリングに興味が移っていきました。なぜかというと、データを分析することはとても重要ですが本質はそこではないことがわかったからです。そもそもデータを集めるシステムがなければデータは分析できないですし、そのデータをお客様に届けるシステムもなければいけません。そういう考えから、データエンジニアリングの勉強を始め、社員になってからはそちらが主な業務となりました。

 

ーーなるほど!データの活用のためには色々な環境を整える必要があるのですね!
そのようにインターンをしていかれたと思うのですが、入社の決め手は何だったのですか?

 

大野:大きく分けて2つあります。

まず1つ目が、色んなチャレンジができる会社だと思ったからです。

Finatextホールディングスという親会社の下には、弊社『ナウキャスト』や、さまざまな金融アプリの開発を行う『Finatext』、証券を扱う『スマートプラス』などの子会社があります。毛色の違う仕事もやる気があれば取り組めるというのはインターンの時から感じてました。IT人材として何を軸にするのか決まっていなかったので、選択肢が多い環境に魅力を感じました!

 

ーーデータサイエンスやエンジニアなど、様々なことに挑戦できる環境が良かったのですね!

 

大野:そして、2つ目が会社の雰囲気です。

他の企業にもインターンをしていたのですが、弊社は社員とインターンの距離が近かったですし、単純に年齢も近かったんですね。そのためとても交流しやすく、雰囲気が好きだったので「この人たちとだったら働きやすいだろうな」と思っていました。

 

ーー具体的にどのような環境だったのですか?

 

大野:コロナ前のことですが、毎週水曜日に『メシテキスト』という、会社の負担で出前を好きに取り、みんなで食べるイベントがありました。その時は普段お世話になっている人だけでなく、他のグループ会社の人ともお話しできたり、技術的なディスカッションもできました。

 

ーー好きなものが食べられて、さらに社員の方と交流できるのは良いですね!

 

大野:また、インターン生と社員で週末に勉強会を開催したりもしていました。当時は小さい会社だったのでそういう機会が多く、また社員との距離がとても近いため、和気あいあいとした雰囲気でした!

 

ーーとても良い環境ですね!

 

コロナ前を超える交流を目指して!

ーー大野様はエンジニアとしてのお仕事もある中で新卒領域も担当していて大変だと思うのですが、どうして取り組む決断ができたのですか?

 

大野:代表に信頼してもらって声をかけていただいたので、その期待に応えたいという思いは1つ要因としてあります。あとは、以前のような雰囲気を作りたかったからですね。

 

ーー”以前のような雰囲気”と言いますと…?

 

大野:私がインターン生だった頃、社員に対するインターン生の割合が高かったんです。社内で出前を頼んだり、月に一回飲み会があったりして、そこでインターン生同士や、インターンと社員との交流が深まりました。そこにインターンの友達がまた別の優秀な学生を連れてきて…というような仕組みがありました。

 

ーーコロナ前ということもあり、交流が盛んにあったのですね!

 

大野:しかし現在はインターン生と社員が交流する機会も少なくなってしまいました。「あの時はこうだったから、彼みたいな優秀な人がいたね。」と入社後に菅原などと話すことが多く、また自分もインターンでとても良い経験をさせてもらったので、当時の活気や雰囲気を再現できるようにしたいと思ったんです。

 

ーー自分がインターンを通して良い繋がりができたから、それをまた復活させたいと思ったのですね!

 

大野:そうですね。純粋に自分がインターンでお世話になったので会社に恩返ししたいという気持ちもありました。同期の菅原も、似たような気持ちはあったと思います。彼はディレクターで、私はエンジニアと立場は違いますが、裁量を持って自由に取り組ませていただいています。

 

ーーすごくいいですね!『メシテキスト』以外で、会社として何か社員やインターン生同士の結束力を高める施策はしていたのですか?

 

大野:そうですね、社員さんのご自宅にお邪魔してホームパーティーもしていましたね。さらに、オフィスで勉強会を開き、インターン生同士で教え合ったり、そこで社員さんがサポートしてくれたりっていうことが日常的にありました。

 

ーーとてもコミュニケーションの機会が多い会社なのですね!

 

大野:最近はコロナの関係でそういう機会はできていないんですけど、よりみんなが交流をはかりやすい環境を作りたいなと思っています!

 

私が大事にしているコト、組織が大事にしているコト。

ーー大野様はお仕事の中で心がけていることなどはありますか?

 

大野:『深く考えるけど、考えすぎない』ことは意識していますね。

 

ーーどういうことでしょうか?

 

大野:私が学生の時は専攻分野の関係もあり、1人で深く考え、深く勉強するっていうことが多かったんです。例えばAが分からなかったらA’を調べて、そしたらBも関連していて…みたいに突き詰めることに時間をかけていたし、それが結構好きでした。

 

ーー研究者って感じがしますね!

 

大野:それをやることでエンジニアとして技術力が上がったり、俯瞰的な視点を手に入れられたりできます。しかし、仕事でそれをずっとやってしまうと全然タスクが終わらなくなってしまいます。他の社員と相談して仕事の期限や緊急度を決め、それを守れるくらいに深く考えることを意識しています。

 

ーー確かに、それは学生と社会人の違いということもあるかもしれませんね。
また、今のお仕事でやりがいに感じていることなどはありますか?

 

大野裁量や任される範囲が大きいことにやりがいを感じています。

新卒の採用もそうですが、メインのエンジニアとしても幅広く仕事をさせてもらっているんですね。私はデータエンジニアなので、基本的にはデータを扱う職種ですが仕事はそれだけではありません。

システムを動かすためのインフラだったり、AWSというクラウド上で動かすための基盤を作ることもしています。これって他の会社だったら既に作ってくれるチームがあることが多いかなと思うんですけど、そういうのから任せてもらえるのはすごくやりがいになっています。色んな意味でやれる仕事やその範囲が広いというのがやりがいの1つですね。

 

ーーそういった文化はやはり『Principles』からきているのですか?

 

大野:そうですね。弊社グループには『Principles』と呼ばれる価値観があり、その中でも『Beyond』を体現している方が多いと思います。『Beyond』とは”職種を超えて必要なことはやろう”という価値観で、私の場合でいうと新卒採用に取り組んでいることが当てはまります。またミクロで見るとエンジニアのなかでデータを書いたり分析をするところから、インフラやサーバーサイドにも携わることが当てはまります。

 

ーー本当に幅広く手がけていらっしゃいますもんね。

 

大野:またエリアや担当が違うとしても、自分が責任を持ってやるべきだと思うことに取り組むというのは『Jibungoto:じぶんごとで進めよう』に近いです。あとは『Anti-bias:専門性を敬い、当たり前を疑おう』というのもあるんですね。これは弊社グループが証券業を持っているのでそこから生まれた価値観だと思うんですが、業界の固定概念みたいなものがあったりするんですね。なので、「発想は違うけど、ビジネスを加速させるアイデアがあればどんどんやっていこう」というバイアスに囚われない姿勢はこれに由来していますね。

 

ーー会社が大切にしていることをみなさんが実践しているのですね!

 

『T』を目指して果敢に挑戦し続ける!!

入社されてからたくさんの業務をやられてきたと思うのですが、その中でも大変だったことなどはありますか?

 

大野学生と社会人の違いを実感させられたことですね。

学生の頃は研究や勉強など1人で作業することが多かったですが、社会人になったらチームで成果を出すことが求められます。今もタスクマネジメントが課題ではあるのですが、試行錯誤して改善していきたいと思っています。

 

ーー確かにそれは大きな違いですし、チームで協力することになれるまで時間がかかりそうですね。

 

大野:また、インターン生と社員の違いでも苦しみました。

インターン生の頃は活動時間が限られているので、社員の方が時間内でやりきれるタスクに切り出してくれていたんですね。さらに責任の範囲も大きくないので、ひたすら目の前の仕事をやれば良かったことが多いです。しかし社員になってからは、今度はインターン生に仕事を渡す立場なので、どんなタスクを任せるのかやその粒度から考えないといけないことに苦労しましたね。

 

ーーインターン生と社員という部分でも苦労されたのですね。

 

大野:裁量が大きく任せてもらえる反面、責任が大きく、自分で考えて行動する必要があります。どういったやり方がベストなのかは模索中ですが、先輩社員と相談しながら仕事を進めるようにしています。社員同士の距離感が近いこともあって、うまく言語化できない状態でも早めに相談して、どのように仕事を進めていけば良いかを話し合って大変な作業を乗り越えて行っています!

 

ーー会社の雰囲気の良さが問題解決に役立っているのですね!
そういった普段のお仕事で感謝を伝えたい方などはいらっしゃいますか?

 

大野:一緒にJr.HRの立ち上げを行った菅原には感謝しています。

彼は本業がディレクターということもあり、プロジェクトのマネジメントがとても上手なんです。そして私はエンジニアとして「どんなインターンだったら、学生が喜ぶか」を考えてインターンの設計や企画をしています。そのように役割分担し、お互いが得意な領域をカバーし合っています。

 

ーーお互いが助け合っているんですね!

 

大野:しかし、役割分担をしているとは言え、全体の統括はとても難しいことです。プロジェクトを進めるためには、リーダーシップや論理的思考力など複数の能力が求められます。そんな彼のおかげで限られた時間の中、業務を進めることができているので、本当に感謝していますし、一緒に仕事ができてありがたいなと思います。

 

ーー良い関係性ですね!
最後に大野様の将来の目標をお聞かせください!

 

大野:先ほども話にあったように、今いろんな仕事をさせてもらっています。その中でも、エンジニアを中心に複数の領域のスキルを伸ばしていきたいです。よく『T字型人材』って言われると思うんですけど、『T』の横の部分をもっと厚く広げていき、活躍できるようになりたいです!

 

ーーこれからの活躍を楽しみにしております!
本日はありがとうございました!

 


株式会社ナウキャスト

事業概要

Alternative Data for Actionable Insights」をミッションとし、オルタナティブデータに基づいた、行動につながるインサイトを提供しています。質の高い意思決定に貢献し、新しいチャレンジを後押しします。

 

Investment Research

オルタナティブデータに基づいた日本株に関する分析サービスを提供。

 

Economic Research

オルタナティブデータに基づいたマクロ経済に関する分析サービスを提供。

 


インタビュアー:伊藤香輝
ライター:佐藤徹